【第4回】個人事業主の鬼門「元入金」を完全自動計算させる技

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【第4回】個人事業主の鬼門「元入金」を完全自動計算させる技【ほねぶとDr.】

【第4回】個人事業主の鬼門「元入金」を完全自動計算させる技

元入金の完全自動計算

【前回のおさらい】

前回は、魔法の関数「INDIRECT」を使って、年号を変えるだけで集計先が変わる「自動集計ロジック」を組み込みました。

【今回のテーマ】

今回は、医師や個人事業主が会計で一番つまずく「元入金(もといれきん)」と、年越し処理(年次更新)について解説します。

【この記事のゴール】

大晦日に「シートをコピー」→「年号変更」の2ステップだけで、翌年の帳簿準備を終わらせる仕組みを完成させます。

💡 「エクセルを作る時間がない!」という方へ

この連載ではエクセルでの自作方法を解説していますが、「正直、数式とか苦手…」「手っ取り早く終わらせたい」という方もいると思います。 「時間をお金で買いたい」 という方は、クラウド会計ソフト(マネーフォワードや弥生など)を使うのが一番の近道です。

  • 銀行口座・クレカと連携して自動入力
  • スマホでレシートを撮るだけで仕訳完了
  • 確定申告書Bなどの提出書類も自動作成

1. 「元入金」って何?資本金と違うの?

法人の「資本金」は基本的に変わりませんが、個人事業主の「元入金」は毎年変動する生き物です。 ここを理解していないと、青色申告決算書の貸借対照表(B/S)で必ずエラーが出ます(左右が合わなくなります)。

▼ 元入金の正体

事業主がビジネスに投じている純粋な資産の元手。
1月1日のスタート時点で確定し、12月31日まで変わりません。

▼ 翌年の元入金の計算式

【新・元入金】 =
【旧・元入金】 + 【青色申告特別控除前の所得】
+ 【事業主借】 – 【事業主貸】

ちょっと頭が痛くなりますよね?
「事業主借」はポケットマネーから事業に入れたお金、「事業主貸」は生活費として抜いたお金です。 これらを毎年手計算して入力するのは面倒ですし、高確率で計算ミスをします。
だから、エクセルに自動でやらせましょう。

2. 超優秀INDIRECT関数

前回、PL&BS_2025などのシートを画像で公開しています。その時「元入金」はH3で計算しますと伝えていたのを覚えていますか? もちろん覚えていますよね!!早速H3に挿入する関数を紹介します。

=IFERROR( SUMIF(INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!A:A”), “元入金”, INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!F:F”))+SUMIF(INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!B:B”), “売上”, INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!F:F”))-SUMIF(INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!B:B”), “経費”, INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!F:F”))+SUMIF(INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!A:A”), “事業主借”, INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!F:F”))-SUMIF(INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!A:A”), “事業主貸”, INDIRECT(“‘PL&BS_”&($A$1-1)&”‘!F:F”)), 0)

めっちゃ長い(笑)
ただ、これの関数が1で伝えた、元入金 + 事業収入(黒字の場合) + 事業主借 – 事業主貸 の計算が全部できているのはわかりますか?? 正直わかんなくても大丈夫です。きちんと動くことは実証しています!!

※事業を始めた年は0となるようにIFERROR関数で囲んであるので、初年度は0になります。安心してください。

3. 実際の年次更新手順(3分クッキング)

このシステムが完成すれば、毎年の大晦日にやる作業はこれだけです。

  1. PL&BSシートをコピーして、A1セルの「2026」を「2027」に書き換える。
  2. Journalシートをコピーして、テーブル名を「tbl_Journal_2027」に変更する。
  3. 終了です。

A1を変えた瞬間、数式が「おっ、2027年になったな!じゃあ2026年のシートから残高を引っ張ってくるか」と動き出し、一瞬で新年の帳簿がスタートします。

4. 損益通算に使える経費は建物分のみ

不動産賃貸業を始めた初年度は様々な経費でよっぽど利回りが高い、もしくは現金で購入した物件じゃなければ赤字になります。 ただ、よっしゃキャッシュフローは黒字だけど、経費計算したら赤字になった!給与と合算して税金減るぜ!と全額損益通算すると、あとで痛い目(追徴課税や延滞税)を見ます(泣)

【重要】土地利息の罠

詳しくは過去記事(落とし穴回避術No.4 経費No.5 減価償却)でも述べていますが、損益通算できるのは「建物の利息だけ」です。

計算ロジックの実装

これに関しては、まずそれぞれの建物と土地の比率を手入力していただき、土地の利息額を算出します。そして、土地の利息分を当期純利益に足します(赤字なら赤字額が縮小し、これが損益通算可能な額になります。)

① 土地利息額の算出(K列などで計算)

建物名、土地比率(%)、その物件の全体の支払利息を入力し、K6セルなどで計算します。

K6 = J6 * I6 K7以下 = SUM(K6:K…) ※物件数に応じて合計

② 損益通算可能額の算出

P/Lの当期純利益の下に「損益通算額」の行を作成し、以下の数式を挿入します。

=IF(N27>=0, 0, MIN(0, N27 + $K$7))

※この $K$7 に関しては、セル挿入などで行が変わったときは自動で変更されるので安心してください。

5. まとめ

記事の要点

  • 個人事業主の元入金は毎年変わるため、手計算はミスの元。
  • 「A1-1」で前年シートを参照させれば、残高引継ぎも元入金計算も自動化できる。
  • これであなたの会計システムは、一生使える資産になりました。
*これは不動産所得が消費税のかからない特殊な所得であるために可能な計算になります。もし、事業所得など消費税が絡む場合はこの限りではないため、専門家に相談してください。

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